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日本と海外「歯列矯正」に対するイメージと考え方
こんにちは。矯正医の宮島です。
今日のテーマは「矯正のイメージ」について。
八重歯がある人を「かわいい」と感じるのは日本だけ、といわれているのはご存知でしょうか。先進国では、八重歯だけではなく歯並びの乱れはできることならきちんと整えたいと考える人が大半です。
ですが一方、世界の多くの国では、現在も「歯列矯正」という言葉も一般的に知られていない地域もたくさんあります。
今日は、日本の歯列矯正のイメージと欧米諸国のイメージの違いをお話します。
【日本】
日本での歯列矯正は、食事、会話など普段の生活に支障がでるほどの歯並びの乱れに対して行われる特殊治療として認識されてきました。
つまり、生活に支障がでなければ、矯正をする人は少なかったのです。歯列矯正はあくまでも“健康”のために行われる治療でした。
ですが、最近はテレビを見ていても本当に歯並びがきれいな芸能人や、モデルさんをよく見かけますよね。近年、見た目の“美しさ”のための歯列矯正が日本でもようやく認識されるようになりました。
では次に、欧米諸国の矯正のイメージ、考え方について。
【欧米】
アメリカやイギリスといった欧米先進国の多くは、日本より高い確率で歯列矯正が行われています。
矯正は保険がきかない高価な治療ですから、
「歯列矯正をした人=裕福な人(家庭)=歯並びがきれいな人」という考え方が人々の間に深く浸透していていることが関係しています。
逆にいうと、「歯並びが悪いと歯列矯正ができないほど貧乏な人」だと見られる可能性もあるのです。
ですから、欧米の家庭の多くは、子供の永久歯がはえかわったタイミングで、「矯正をするべきかどうか」判断する機会が必ずあります。
その判断基準は、「歯並びが悪いかどうか」ではなく、「歯並びが歯列矯正も不要なほどきれいかどうか」なのです。
“美”のために行われる治療です。
これは、日本での考え方と大きく違うところですよね。
欧米諸国の子どもたちは中学生に上がるころ、クラスの半数から大半の子供たちは歯列矯正を一斉に始めます。あの、矯正器具をつけている姿はごく普通の風景なのです。
では、現在の日本の中学校のクラス内はどうでしょうか。
以前ほどではないにしても、矯正装置をつけている生徒の姿はまだ珍しく、教室などでは目立ってしまい、いじめにまで発展することはなくとも、注目を浴び質問を受けることも多いようです。
また、親世代の歯列矯正に対する認識があまりないこともあり、永久歯に生えそろう中学生くらいの年での矯正は決して多くありません。
次回は、「矯正を始めるタイミング」についてお話ししたいと思います。